11月15日に開かれた政府の有職者会議で、技能実習制度を見直し、創設される新制度の名称について、「育成就労」とする最終報告書案が示されました。
新制度の目的は、労働力確保をメインとしており、特定技能1号への移行に向けた育成を目指すものです。 つまり 《人材確保と育成を目的とした就労》を念頭に置いたものなので、現行制度の名称よりも、目的に即した名称と言えるでしょう。
この会議では、
転籍を認める要件についても新たな案が出されています。
これまで議論されてきた(11月15日までに有識者会議は15回開かれています。)
外国人本人が
『❶同じ受け入れ企業で1年以上就労している
❷技能検定試験基礎級等及び日本語能力相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格
の要件を満たしていれば、2年目以降同じ分野内で転籍(転職)可能』 とする案に代わり、
『新たな条件を加えて2年未満までは転職を制限できる』とする案が出されました。
これは主に、地方から都市部への人材流出を懸念しての案です。
しかしこれまでの案より転籍へのハードルは上がるため賛否両論となり、結論に至りませんでした。
今後どうなっていくかが気になりますね。
検討途上にあるものではありますが…
転籍に関してどんな議論が続いているのでしょうか?
そもそも現行制度の転籍のしづらさ が 失踪 や 人権侵害 につながっている という観点から、転籍制度の緩和が必要とみなされています。
一年が終われば、同じ内容の仕事でより高い給与を望めるのであれば、地域や職場選びに関して、都市部が人気になることは想像に難くありません。とはいえ、懸念点はそこだけではないようです。
どんな注意点があり、それに対してどんな主張があるのかをピックアップしてみます。
1年を超えていれば本人の希望で転籍出来るとなると…
分野によっては人材育成の時間が1年では足りず、1年以上時間をかけなければ業務内容を覚えられないのではという声があります。
⇒ 分野ごとに2年を超えない範囲で期間を設定出来る案にすべきだという主張。
最初の受け入れ企業は、初期費用を負担することが前提です。
⇒一年しか働かずに転籍されると最初の受け入れ企業の負担が大きすぎるのでは、転籍先でも費用の一部を負担すべきではないかという主張。
この費用に関しては、「正当な補填」を求める声がありますが、
就労期間や育成レベル、日本語能力が様々な外国人労働者に対して、転籍先がどこまでを負担するのか、金額などを明確にするのが難しいため、何を持って正当とするのかも難しいと言えそうです。
新制度の3年という在留期間内で、仮に就労開始2年後に転籍する場合、転籍許可の審査を待つ期間や転籍先での新規労働者の講習期間(2ヶ月ほどを想定)を含めると、残りは事実上10ヶ月未満と考えられます。 そうすると、転籍先でも一年未満しか就労できない可能性も高く、そうなると、受け入れ企業にとっても外国人労働者にとってもあまりメリットがありません。結局、3年同じ企業で就労することを条件とした現行制度と変わらない状態が生じ得ると言えます。
こうして見ると、それぞれの意見がもっともらしく感じられます。
折り合いの付く結論を見出すのが難航しているのも頷けますね