インバウンド客増加の今、外国人材の採用に期待
【宿泊業界での人手不足の現状】
コロナ禍で大きな打撃を受けた結果、宿泊業界の市場規模はかなり縮小しました。しかし外国人旅行者の受け入れが再開した2022年から宿泊業の市場は急速な回復フェーズに入っています。この急な変化に対応するため各宿泊施設は奮闘しています。
ところが、IT化、マルチタスク化を行うなど業務効率を高めても、“スタッフが足りず客室を100%稼働出来ない”“全てのサービスに人材を割けずセルフサービスをお願いせざるを得ない”など、もどかしい状態を嘆く声も聞こえてきます。
実際2024年6月の調査では、旅行・宿泊業の約85%が人手不足を理由に営業制限を行っていることが明らかになっています。
その上今後のインバンド客の増加で、2028年には全国で7万4000人程のさらなる人手不足が予測※されています。そんな背景もあって海外人材の獲得に注目が集まっています。
※宿泊分野 | 出入国在留管理庁 宿泊分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(PDF:163KB)参照
2023年に宿泊分野も特定技能2号が追加され、外国人材採用の道が整えられてきました。
【外国人材に任せられる業務】
多くの業務に従事出来ます。
⚫︎宿泊業全般 〜主に宿泊客と対応する業務〜
▷フロント業務
チェックイン/アウト、周辺の観光地情報の案内、ツアーの手配等
▷企画・広報業務
キャンペーン・特別プランの立案、館内案内チラシの作成、HP、SNS等における情報発信等
▷接客業務
館内案内、宿泊客からの問い合わせ対応等
▷レストランサービス業務
注文対応、配膳・片付け、 料理の下ごしらえ・盛りつけ等
⚫︎関連業務 〜バックヤード業務〜
▷館内販売(土産物屋など)
▷備品の点検・交換
▷ベッドメイキングや清掃
⚪︎禁止事項
・関連業務のみの従事(例えば清掃、ベッドメイキングだけ専属で行うなどは不可。)
〜ここは注意!〜
※ホテルで外国人材が就労するには「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザを取得するという方法もあります。この場合、受付業務は対応できますが、ベッドメイキングや掃除、配膳など付随業務を行うことはできません。しかし、特定技能「宿泊」ならハウスキーピングやベッドメイキング等の労働も対応業務の範囲内になります。
【受け入れ企業側に求められること】
【外国人側に求められること】
①技能水準◆宿泊分野特定技能1号評価試験 合格
②日本語能力◆ 「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」 合格
①の試験合格には、最低限の日本語読解力と、宿泊業務をする上で即戦力になるレベルの知識が必要となります。
【地方の宿泊施設 外国人確保で今後“より選ばれる宿”に】
日本の地方における宿泊業は、人手不足の解決が特に急務と言えるのではないでしょうか。とはいえ、これまで外国人材を受け入れたことがない場合、採用を躊躇う気持ちがあるのは無理のないことです。
しかし、外国人材に目を向けるメリットを考慮すると、人材確保の策として前向きに検討したくなるはずです!
~ 外国人材活用のメリット ~
▶︎多言語対応が可能
多言語に対応したパンフレットやWebサイトの構築を通じて、新たな客層に向けてアプローチが可能になります。今後増加するであろう外国人向けサービスの充実を図りやすいのではないでしょうか。
▶︎ 外国人宿泊客の需要に応えるサービス提供
自身の経験から、日本文化に慣れていない宿泊者の気持ちやニーズに早く気付き、フォロー出来る能力を持っています。
▶︎既存スタッフの助けに
宿泊業界における外国人スタッフの存在は、日本人スタッフの安心に繋がります。慣れないインバウンド客の対応も、互いに協力して行える環境を整えられます。
▶︎ 外国人労働者にとって好条件な環境をアピール出来る
地方の宿泊施設が勤務先近くに住居手配をし、通勤・生活の不安を軽減するなどベースの生活を保障出来れば、環境の良い場所で仕事と暮らしを得られる!という魅力を示せます。都市部では整えにくい “観光地ならではの環境” を強みとできるかもしれません。
昨今、都市部だけでなく地方を訪問するインバウンド客も増えています。実際山奥の観光地へ行ってみたら「外国人ばかりで日本じゃないみたいだ」と驚くこともあるのではないでしょうか?
ところが、地方で外国語堪能な人材を地元から確保するのはなかなかの至難の業。だからこそ 英語を始め外国語を話せるスタッフ の採用を積極的に考えていくことは、今後「選ばれる宿泊施設」になっていくための大きな投資となるかもしれません。
宿泊業において外国人材を受け入れることは、人手不足を補う以上のメリットも多いのです。