注視したい転籍に関する議論
検討途上にあるものではありますが…
転籍に関してどんな議論が続いているのでしょうか?
そもそも現行制度の転籍のしづらさ が 失踪 や 人権侵害 につながっている という観点から、転籍制度の緩和が必要とみなされています。
一年が終われば、同じ内容の仕事でより高い給与を望めるのであれば、地域や職場選びに関して、都市部が人気になることは想像に難くありません。とはいえ、懸念点はそこだけではないようです。
どんな注意点があり、それに対してどんな主張があるのかをピックアップしてみます。
◆就労期間の要件1年は適切?
1年を超えていれば本人の希望で転籍出来るとなると…
分野によっては人材育成の時間が1年では足りず、1年以上時間をかけなければ業務内容を覚えられないのではという声があります。
⇒ 分野ごとに2年を超えない範囲で期間を設定出来る案にすべきだという主張。
◆本人移行転籍に伴う費用分担
最初の受け入れ企業は、初期費用を負担することが前提です。
⇒一年しか働かずに転籍されると最初の受け入れ企業の負担が大きすぎるのでは、転籍先でも費用の一部を負担すべきではないかという主張。
この費用に関しては、「正当な補填」を求める声がありますが、
就労期間や育成レベル、日本語能力が様々な外国人労働者に対して、転籍先がどこまでを負担するのか、金額などを明確にするのが難しいため、何を持って正当とするのかも難しいと言えそうです。
◆転籍することのデメリット
新制度の3年という在留期間内で、仮に就労開始2年後に転籍する場合、転籍許可の審査を待つ期間や転籍先での新規労働者の講習期間(2ヶ月ほどを想定)を含めると、残りは事実上10ヶ月未満と考えられます。 そうすると、転籍先でも一年未満しか就労できない可能性も高く、そうなると、受け入れ企業にとっても外国人労働者にとってもあまりメリットがありません。結局、3年同じ企業で就労することを条件とした現行制度と変わらない状態が生じ得ると言えます。
こうして見ると、それぞれの意見がもっともらしく感じられます。
折り合いの付く結論を見出すのが難航しているのも頷けますね。